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鈴鹿スポーツガーデンで行われた2012東海女子フットサルリーグ【第1節】、第2試合にはもう一つの静岡県勢、Frontier FC(以下、フロンティア)が登場した。

 

昨年の開幕戦では新規昇格チームに引き分け、結果的にシーズン全体を苦しむ事となったフロンティア。それでも最終順位では優勝したギャングに次ぐ2位となっている。とは言え、全国をターゲットに活動するチームにとっては、全日本女子の静岡県代表の座を逃した事も合わせ、まったく不本意なシーズンだったと言えるだろう。

 

ただ、不本意な結果ではあったが、静岡県選抜を多数抱える選手層の厚さは東海地域でもトップクラスだ。
さらに今季のフロンティアには、昨年の静岡県選抜に招集されていた稲葉恵子(ゴリラシズオカから移籍)と長谷川絵梨(エストレラードレディース/焼津、県レディースリーグから移籍)が新規加入、さらに同じく静岡県選抜の奥平みどりがゴレイラとして復帰、と一段と層の厚みを増す布陣となった。

 

数少ない心配事と言えば、春先の関東オールスターの際に足を骨折、手術を行った石川春郷が未だ完全復帰していないことくらいだろうか。
その石川、トレーニングマッチではすでに短くプレーするまでには回復しているそうだが、「完治」を望むチームの判断でこの試合ではスタッフ登録となった。

▲「ここまでのチームの仕上がりは50%」と曽根田かおりコーチは控えめに話したが、その言葉は今季へ臨む意識の高さの現われとも取れるだろう。

 

 対戦相手は今季愛知県からの新規昇格となったAOMIレディースFC(以下AOMI FC)。小学生、中学生世代を中心に、サッカーのクラブチームとして主な活動を行っているチームだ。なんと、2000年生まれを含み、ほとんどがU-15年代の選手で構成されている。

 

試合前のアップでも、監督、コーチの指示で一心にボールを追う選手たちのひたむきさ、勤勉さは、統制の取れたクラブチームである事を充分に感じさせてくれた。

▲東海女子フットサルリーグで始めて収まる集合写真にも、かっこよく応じてくれたAOMIレディースFCの選手たち。こんなところにもクラブチームとしてのまとまりは現われるものだ。

 

さて、肝心な試合だが・・・。

 

結果からお伝えすると、前半4-0、後半8-0、合計12-0でフロンティアが圧勝した。

 

フロンティアの奪った12ゴールについて、簡単ではあるが取材メモにその状況を記録している。試合の流れに加え、その中でも印象深かったいくつかのゴールについて筆者なりの感想を書いてみたい。

 

キックオフはAOMI FC。
AOMI FCはキックオフシュートにチャレンジするが、センターサークル外側中央で構えるフロンティアの壁2枚がしっかりとブロック。このこぼれ玉をマイボールとし、そこからのフロンティアの正確な組み立てが先制ゴールへ結びつく。

 

AOMI FC陣内に入ったエリア、やや左サイドでボールを欲しがる小野あかねにハーフラインを挟み自陣から精度の高いパスが供給されると、小野はボールを十分に懐に呼び込んでから身を翻すワンタッチのコントロールで自らのマーカーを外しピッチ中央へボールを持ち出した。

 

この時点で「勝負あった!」と言えるほど鮮やかなボールコントロールだった。

 

AOMI FCゴールを正面に見る小野はこの時点で「自ら仕掛けてのシュート」の選択も出来ただろうが、より確実にゴールに結びつくであろう、左サイド高い位置でフリーで待つ志田千尋へ配球、志田がこれを抜かりなくゴールへ蹴りこみ開始からわずか20秒で今季のフロンティアのファーストゴールを記録した。

▲先制ゴールの志田(6)が完璧なアシスト役を演じてくれた小野(13)とハイタッチ。

 

2点目は小林千春。ゴール前で志田とのワンツーから難なく決めたゴールだった。

 

3点目はプレーイングタイムで約4分が経過した時だった。今季の新戦力の一人、稲葉恵子が最初のローテーションでピッチに入る。
状況は右コーナーキック。キッカーの宮本がボールをセットする間に稲葉はシュート体制に入るべく右45度の位置へ走り込む。そして宮本から供給されたボールを右足で強蹴すると、ボールは一瞬でAOMI FCゴールに飛び込んだ。

 

稲葉のスペースへの走りこみと宮本のボールセットからキックまでの間が見事に一致した、シンプルではあるがセットプレーらしいゴールだった。

▲フロンティアへ移籍後、東海リーグでの稲葉のファーストタッチが生み出した強烈なゴールだった。すぐさま宮本が祝福に駆け寄る。

 

この3点目までで、タイマーはわずか3分47秒しか進んでいなかった。

 

「いったい何点入るのか?」・・・いらぬ心配が頭をよぎるが、ここからの約10分間、AOMI FCの選手たちは良く頑張った。
自分達のパスのつながりも、インターセプトからの速攻も何度かシュートに結び付けることが出来た。もちろんその間の失点もなかった。

 

決してフロンティアが手を抜いたわけではないのだろうが、ややルーズな試合展開にこの日ベンチワークを務める曽根田コーチは8分過ぎにタイムアウトを取り守備の確認、次の1点への引き締めを行ったほどだ。

 

その後、先制ゴールを奪っている志田が新戦力の一人、長谷川絵梨とのコンビネーションで自身の2点目を奪い、前半は4-0で終えた。

▲東海リーグデヴューを果たした長谷川絵梨。アシスト役としてはいくつかのゴールに絡んだが、GKとの1対1を決めきれなかったりと無得点で試合を終えた。

 

後半もまた、開始早々にフロンティアがゴールを奪う。右サイド深い位置でのキックインからゴール前でもつれたボールを小林が上手く裁きフリーの宮本知実へ、今季もキャプテンを務める宮本のシーズン初ゴールが生まれた。

 

1分後には前半の清水美晴を引き継ぎ、後半のゴールを任された奥平みどりのロングフィードから宮本が浮き玉を処理し志田へ。志田がドリブルから豪快に蹴りこみトリプレッタを達成。

▲3ゴール目を奪い、どうだとばかりにベンチに向かい拳を突き上げる志田。

 

続いては再び宮本。ゴール前で頑張った柳恵理子の落しを蹴り込み7-0。
宮本はチームの9点目も決め志田に続くトリプレッタを達成した。

 

8点目は中央の志田から左ワイドの稲葉へとつながり、稲葉のシュートクロスを渡辺有紀がセカンドポストで体ごとゴールに押し込んだ。

▲得点のシーンではないが、短い出場時間の中、常にゴール前への寄せを意識していた渡辺。後半のゴールはその積み重ねが形となって現われた。

 

 10点目は自陣中央付近までポジションを上げていたゴレイラの奥平から、相手ディフェンスの裏側で待つ小林の足元に精度の高いグラウンダーの高速フィードがつながる。受けた小林とAOMI FCゴールの間にはゴレイラ一人だけ。小林は落ち着いて自身この試合の2点目を記録。

 

「二桁に届いてしまったか!?」の思いでタイマーに目を移せば、刻々と残り時間が減り続け終了まであと10秒、「これで打ち止めか?」と思われた次の瞬間に稲葉のゴールで11-0。

 

この後、再開のためのリスタート(キックオフ)を見守っていると、この点差にもかかわらずAOMI FCの選手たちは果敢にフロンティアゴールを目指す。そしてボールをゴレイラの奥平がキャッチする位置まで運び今度こそ試合終了!と思われたのだが、終了を告げるブザーより一瞬早く奥平が素早い動作でパントシュートを放つ。そして綺麗な放物線を描いたボールはAOMI FCゴールのバーのギリギリ下側を通過しゴールネットを揺らした。

 

鮮やかなブザービーターだった。

 

AOMI FCの応援に来場していた方々にとっては「何もそこまでしなくても・・・。」とため息が出そうな12点目のゴールで試合は終わった。

▲奥平は点差に関係なく最後の最後まで真剣にゴールを奪いに行った。タイマーが刻む数字を意識しながらプレーする事もフットサルでは重要な要素だ。

 

東海地域の強豪、そして今季の戦力で言えば全国トップレベルの選手層とも言えるフロンティアと、U-15年代中心で初めて東海リーグに挑戦したAOMI FC。
点差で試合を振り返ることにほとんど意味はないだろう。

 

ただAOMI FCは、フットサルに真剣に取り組む大人の女子チームから、「フットサルの基本を凝縮し体験させてもらった。」と、捉えてはどうだろうか。

 

▲年齢差、体格差、そして経験値の差、どれもU-15の選手には厳しいものだった。が、貴重な経験でもあったはずだ。

 

フロンティアの12ゴールは、ファーストタッチでのボールの方向付け、スペースへのボール運び、人の動き、ポジショニング、セットプレーの一瞬のコンビネーション、左右への揺さぶり、セカンドポストへの詰め、ピヴォ当て、裏の取り方、そして直接ゴールにも結びつく攻撃的ゴレイロの存在、などなど多くのフットサルの基本的な技術あるいは攻撃パターンから生み出されたものだった。
ピッチの縦、横の使い方、人の動き、ボールの動きを調和させた、フットサルの基本となるコンビネーションを随所に見せていた。

 

対戦したAOMI FCもゴレイラは勇敢なセーブを見せていたし、何人かの選手はディフェンスの意識も高かった。そして一人がダメなら次と体を張ったプレーも見られた。ただ、とにかく、愚直なまでにボールを奪おうとする事だけに一生懸命だった。

 

言い換えれば、ボールへ飛び込むディフェンスで挑んだからこそ、フロンティアの球離れの速いパスワークに翻弄されてしまったのだ。サッカー部系がフットサル競技にチャレンジする初期の段階では良くある話だ。

 

フロンティアにしてみれば、そういったチームを料理するためのレシピ通りに試合を進めることが出来たと言える。しかし、フロンティアにもいくつかのミスはあった。前半の停滞した時間帯も大きな反省点だろう。

▲フロンティアの攻撃は多くの時間で飛び込むディフェンダーの足先に触れず、常にボールが動く。

 

AOMI FCがこれから先そしてこの年代から、がむしゃらに飛び込まずに駆け引きに持ち込むディフェンスを少しだけでも覚えたら、(そしてフロンティアが同じ戦い方をしたと仮定したら)今日の点差はあっという間に半分にはなるだろう。

 

その守備は今後対戦するどのフットサルチームに対しても有効である事は疑いがないし、サッカーにおいても予測や駆け引きを伴うディフェンスは必須なはずだ。

 

しかしまた、そのディフェンスを破るための攻撃戦術と出会い、再び悩みそして成長する、その繰り返しが(行う)競技フットサルの大きな魅力だと思う。

 

AOMI FCにとっては初めて挑む東海女子フットサルリーグではあるが、日本でトップレベルの女子フットサル地域リーグに身を置いていることを自覚し、今後の「競技フットサル」への真剣な取り組み、シーズンの中での若い選手たちの成長に期待したい。

 

試合後、フロンティアの宮本知実キャプテンと、AOMI FCの神谷康治監督にお話を伺ったので、それぞれのコメントを付け加えレポートの締めとさせて頂きたい。

 

※フロンティア、宮本知実キャプテン

▼今季開幕を迎えるにあたりチームとしての準備は?仕上がりは?
・・・(宮本キャプテン)去年は開幕から「引き分け→敗け」と続き、厳しいシーズンになってしまった。今年は初戦の内容と結果にこだわって取り組んできました。
初戦勝利の結果は良かったですが、まだまだ個々の責任感、全国を目指すことへの自覚が足りないとも思います。技術、戦術面よりまずはそこからもっと成長していきたい。

▼新戦力は?
・・・稲葉さんは(得点という)結果を出せる選手なので一番の期待はゴールです。でも最近は新しいDFで迷いがみられたので、今日のファーストタッチゴールを決めてくれ安心しました。
えり(長谷川)は技術は十分あるので、戦術面の理解があればもっともっと良さ、彼女らしさが発揮できると思います。でも戦術でかたくなり過ぎないようにチームみんなで助けていきたいです。
みどりちゃん(奥平)は今日の1ゴール、1アシストのように攻撃的なゴレなので、得点にも繋がるようなプレーを期待します。でも美晴さんと刺激しあってふたりで成長してくれることが一番の期待ですかね。

▼今年の目標は?
・・・東海リーグでは全勝優勝! 選手権は県・東海を突破して福岡へ行く!!

▼今日の試合を振り返って。
・・・個人的な部分では、特に前半はパスミス、ディフェンスでのミスがかなり多かったので、みんなに本当に助けられました。シュート「0」も自分の個人目標に全く届かない数字でした。でもあまり焦らずパスを繋いでいって流れの中で得点できたらなと思っていました。
結果、後半の3点はフットサル公式戦で初なので素直にうれしかったです。今年は得点でチームに貢献したい気持ちがあるのでもっと走ってがんばります。

▼チームとしての初戦をどう評価する?
・・・昨シーズンから課題として「立ち上がりの悪さ」があったので、最初のプレーからゴールを決められたことが一番よかった点だと思います。チームとして落ち着いてスタートできたし、全体の士気も高まりました。あのゴールが今日のすべてだったと思います。
また決定力がなかった中、12得点というのもうれしい結果です。
でも、練習でやってきたことをチームみんなでチャレンジできたかと考えたらまだまだなので、また頭を使って判断力を高めてフロンティアのフットサルをしていきたいです。

▼今季のキー・プレーヤーは?
・・・う~ん、難しいです。
でも、今のこのチームにイシミさん(石川晴郷)が復帰したら、チームがどんな風に変わっていくかがすごく楽しみです!

▼残り8節への戦い方、心意気を聞かせてください。
・・・去年の接戦からみてもチーム間の力の差は縮まっていると思います。その中で勝ちきる強さをつけてしっかり1戦1戦、対戦相手がどうこうよりも自分たちのフットサルをして戦っていきたい。

▼その他、今季全般への抱負があれば!
・・・県レディースリーグ、東海女子リーグのチームに以前サッカーを一緒にやっていた選手がまた加わって来たので、そんな人たちと一緒にボールを追えることがとてもうれしいし刺激になります。

▲大勝ムードにも常に厳しさを失わなかった宮本キャプテン。

 

 

 

※AOMIレディース FC、神谷康治監督

▼チームについて聞かせてください。
・・・(神谷監督)小学生、中学生を中心にしたサッカーのクラブチームで愛知県リーグなどに参戦しています。

▼フットサルをプレーしているのは?
・・・サッカーの練習の一環として、主にパスワークの習得を目標に愛知県のフットサルリーグに3~4年前から参加させてもらっていました。

▼初めての東海リーグ、いきなり強豪との対戦でしたが。
・・・そうだったんですか?相手のことは知りませんでした。ただ、うちは子供達中心のチームなので5~6点は取られても仕方がないかなと考えていたんですが。

▼東海リーグ参戦で目標としている事は?
・・・チームとしてと言うよりは個人個人に経験を積んで欲しいと思っています。特に今日は勝敗や点差にこだわるより全員が出場する事を優先しました。

▼サッカーとフットサル、クラブ運営も大変だと思いますが?
・・・そうですね。上級生になると部活やら勉強やらで全員が集まっての練習もなかなか難しいですからね。どちらにしてもひとり一人の個性を伸ばせるように良い経験を積ませてあげたい。来年につなげる事はもちろんですが、上の年代でもそしてたとえ他チームへ移籍があっても、行った先でうちのクラブでの経験を活かして活躍できる選手を育てたいと思っています。

▲この日の経験を、フットサルそしてサッカーに活かして欲しい。

 
 

※公式記録は以下のページよりご覧いただけます。
  ■2012東海女子 日程/結果

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