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「歴史的初陣は大差敗戦」
         ・・・Fリーグ2012【第1節】名古屋オーシャンズ対アグレミーナ浜松レポート

 

 アグレミーナ浜松のFリーグ初戦は率直な表現を使えば「玉砕」に終わった。5連覇している名古屋オーシャンズに1対8。大きな力の差を感じた一戦だった。

 

 アグレミーナのスタメンはゴレイロ山本浩正、剣持貴充、蓮池紳吾、中島涼太、向島佑介。一方のオーシャンズは岡崎でのプレシーズンマッチと同じ顔触れ。ゴレイロ川原永光、木暮賢一郎、逸見勝利ラファエル、北原亘の代表メンバーに昨季リーグ得点王の森岡薫が入る。

 

 序盤からオーシャンズが落ち着いたテンポでボールを回し、主導権を握る。パススピードは速く、ほとんどミスを犯さない。

 

 8分、オーシャンズが先制する。森岡がアグレミーナゴールの左前、ペナルティエリアの少し外で前を向いてボールキープ。タイミング良くゴール右に走り込んだペドロコスタの折り返しが、アグレミーナDFの頭に当たってゴールに吸い込まれた。

 

 10分、オーシャンズが追加点。ハーフライン付近でボールを奪うと、素早い切り替えで右に展開。渡邉知晃が前方をふさぐDFの股の間にシュートパスを通し、ラファエルサカイがスライディングで押し込んだ。スピードに乗った、フットサルのだいご味を感じさせるゴールだった。

 前半、アグレミーナは3回のチャンスをつかんだ。2分、自陣左深くから中島→剣持→向島という大きなサイドチェンジにトライ。4分、左サイド萩原洪拓から右前方の蓮池にパスが通るが、シュートは川原に止められる。18分には笠井健太のシュートのこぼれを蓮池がダイレクトで打つが、枠をとらえられなかった。

 

 DFの連携は、時間が進むにつれ乱れ始めた。森岡の深い切り返しで前が空くシーンが何回か見られ、フリーで打たれた強いシュートを山本が再三セーブする。

 

 「気持ちで負けないようにしよう。チームの決めごとを徹底しよう」と話しあって臨んだ後半だったが、時間の経過とともにどんどんスコアが離れていく。開始早々、渡邉にゴールを許し、24分にもゴールに近いエリアでワンツーを決められて再び渡邉にゴールを献上。24分に向島がチーム初ゴールを挙げるも、27分からの4分間で立て続けに4失点を喫した。

 

 ヒールパスも交えたパスワーク、相手をギリギリまで近づけてからボールを離す個人の技量。岡崎市でのプレシーズンマッチは「床がベタっとしていてスピーディーな展開ができなかった」(オーシャンズ・アジウ監督)ようだ。前週とはボール回しとフィニッシュの精度が明らかに異なった。
 きりきり舞いさせられたセカンドセット(吉川智貴、ラファエルサカイ、森秀太、ペドロコスタ、渡邉知晃から4人をチョイス)はこの日も威力抜群で、アグレミーナはスタミナを削り取られた。くたくたになったところでファーストセットの森岡、逸見に、確実にゴールを決められた。オーシャンズの戦術の引き出しの多さと決定力を思い知らされた。試合は1対8で決した。

 

 残念なのは、試合途中でアグレミーナの士気が明らかに下がったことだ。試合後の記者会見で前田監督は「半数ぐらいの選手がモチベーションを下げてしまった」と振り返った。
一方のオーシャンズは全く逆だった。点差が離れると弛緩することも多いこのチームだが、アグレミーナ戦に関してはまったくそうした気配がなかった。試合後、川原に水を向けるとこんな答えが返ってきた。
「点差に関係なく自分たちが気持ちを切らさず、良いプレーを続けることが大事。そうすれば次戦でも『名古屋は怖い』という印象を残すことができる。もう試合をしたくない、と思われるぐらいのチームにしなくては」
まさしくプレーオフを見据えての発言だが、こうしたメンタルはどんなチームにも必要なことではないだろうか。

 

 客席を埋めたファンや関係者にとって、この2チームに実力差があるのは百も承知。だからこそ、勝敗以上に敢闘精神に期待がかかる。この日、アグレミーナがゴール前に迫るとスタンドから大きな歓声が沸いた。向島のゴール後の「記念すべきFリーグ初ゴールです!」という場内のアナウンスには、割れんばかりの拍手が贈られた。選手は、このことを忘れてはいけない。

 

 リーグを5年間けん引してきたオーシャンズには惨敗した。だが悲観することはない。当たり前の現実があっただけ。玉砕上等だ。ここから一つ一つ積み上げていけばいい。

 

 すぐには結果が出ないかもしれない。クラブもチームもファンも、今は雌伏の時だ。竜の如く天空を突く日はきっと来る。

 

●名古屋オーシャンズ 8-1 アグレミーナ浜松
 8分 オウンゴール 1-0
10分 ラファエルサカイ(オーシャンズ) 2-0
21分 渡邉知晃(オーシャンズ) 3-0
24分 渡邉知晃(オーシャンズ) 4-0
24分 向島佑介(アグレミーナ) 4-1
27分 森岡薫(オーシャンズ) 5-1
29分 逸見勝利ラファエル(オーシャンズ) 6-1
30分 逸見勝利ラファエル(オーシャンズ) 7-1
31分 森岡薫(オーシャンズ) 8-1

 

写真・レポート:橋爪充

 

▲試合前の整列で、客席の声援にこたえるアグレミーナの選手たち

▲集合写真撮影。県内外から多くのメディアが駆け付けた

▲オーシャンズは岡崎のプレシーズンマッチには出場しなかったラファエルサカイもベンチ入り

▲ドリブルで攻め上がる萩原。試合後「相手どうこうではない。自分たちの戦いを確立しなくては」と語った

▲北原を背負ってボールキープする笠井。前線で起点になるシーンが多かった

▲記念すべきチーム初ゴールを挙げた向島。川原との1対1を制した

▲筆者が撮影した写真に最も多く映り込んでいたのが中島。それだけ攻守に奮闘したということだろう

▲吉川に前を塞がれて天を仰ぐ蓮池。キレのあるカットインシュートをもっと見たかった

▲試合後、サポーターへの挨拶に向かうアグレミーナのメンバー。まだ1試合を終えたばかり。ここからだ

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