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先週末、18日の土曜日はエコパ・メインアリーナで県リーグ1部と2部、さらに中部地域リーグが3面同時に開催された。実は、この日掛川市内で行われたフットサルの公式戦はこれだけではなかった。エコパから車で10~15分ほどの「さんりーな掛川」を会場に「第3回全日本ユース(U-18)フットサル大会 東海大会」の予選ラウンドが行われていたのだ。

 

筆者はこの日、エコパアリーナにて終日を過ごしたため、さんりーな掛川へは足を運ぶ事が出来なかったが、翌19日、同じく掛川市内にある掛川南体育館(通称:しーすぽ)にて行われる事になっていた決勝ラウンドには会場準備などの手伝いを兼ね、試合観戦に出掛けることにした。

 

なんと言っても、準決勝第1試合「名古屋オーシャンズU-18 vs アグレミーナ/エスパッソU-18」のFリーグ下部組織同士の一戦は楽しみだった。

 

定刻の10時にキックオフされたこの試合は、前半立ち上がりから両チーム激しくプレスをかけ合う見ごたえのある試合を繰り広げた。その後のゲーム展開は、名古屋先制、アグレミーナ逆転で折り返した後半、足が止まり始めたアグレミーナに対し名古屋はしっかりとボールをつなぎ機を伺うと8分過ぎに5番渡邉選手が同点弾、さらに8番川辺選手の2ゴールでアグレミーナを突き放し決勝へ駒を進めることとなった。

 

アグレミーナ浜松と事業統合を発表したエスパッソは、昨年のこの大会でエスパッソU-18という単独チームとして出場し全国のベスト4に名を連ねた。
もちろんU-18という年齢制限のあるのチームなので毎年その中身は入れ替わる訳だが、この年代のチーム作りに力を注ぐクラブと関係を持った事はアグレミーナ浜松にとっては(今季から県2部リーグへ参戦することも含め)若手選手の育成、さらにはFリーグで戦える戦力の輩出を担う部門の立ち上げにプラスとなる事は間違いないだろう。ただ若い選手や選手を取り巻く保護者や関係者の想いは様々に変化する。そのためにも選手集めからその指導に至るまで、フットサルを教えることもそうだが、人としての振る舞いを身に着けさせることにもFリーグのクラブとして誇りと責任を持ち、一貫して取り組み育てて欲しいと思う。その大役を担うこととなった剣持貴充監督には、自分が少年だった頃までさかのぼって蹴球人生を振り返り、その経験のすべてを注いでもらいたい。そして成長した選手たちを、まずは県リーグの舞台で見せてほしいと切に願うところだ。

第3位の「アグレミーナ/エスパッソ U-18」

チームを率いるのはFでの現役を退いた剣持貴充監督。自身は県2部リーグでプレーするとの事。

 

名古屋オーシャンズU-18については、トップチームやサテライトチームからの統制のとれたチーム作りの中の1部門として位置づけられている。メンバーの多くは下部(U-15年代)からの持ち上がりやセレクションなどで構成されるそうだが、日本一のプロフットサルクラブの下部組織だけあって有能な選手(に育つだろう人材を含め)がこの日の試合にも数多く出場していた。特にキャプテンとしてチームを引っ張る8番川辺寛悟選手のスキルとキャプテンシーには誰もが注目をしたことだろう。
さらに筆者の気を惹いたのが、高橋優介監督の選手たちへの声掛けだ。タイムアウトの短い時間でも、(たとえばだが)「今、右サイド起点に押し込まれているよね?じゃ、どうしたらいい??」などと、必ず選手たちに考えさせる時間を作っていた。わずか1分間しか与えられないタイムアウト時に、矢継ぎ早に「あれはダメ、これはダメ、ああしろ、こうしろ」と声を荒げる監督やコーチは数多く居るが、この日筆者が耳にした高橋監督の言葉はその顔の表情と同様に優しさすら感じるものだった。常に勝利を期待されたチームにおいて、さらにスコアがビハインドな状況ですらこんなスタイルでコーチングできる高橋監督の言葉の裏には、クラブとして一貫した育成への考え方が流れているのかな、と感じた次第だ。実際に高橋監督にもお話を伺いたかったのだが、結果として全国へのたった1枚の切符を逃した直後のチーム関係者への声掛けをためらってしまった。(まぁ、その事に筆者としての後悔は無いのだが!)次の機会には是非とも、そのあたりのお話も含め、この年代への取り組みについて伺いたいと思う。

準優勝の「名古屋オーシャンズ U-18」

状況に係わらず、常に選手に問いかける高橋優介監督。

シュート力もディフェンス力も非凡な才能を発揮した川辺寛悟選手。上位リーグでプレーする姿を見るのもそう遠くはないだろう。筆者には決勝での敗戦直後に行われた表彰式で、胸を張り毅然とした姿勢で丁寧に賞状を受け取る姿がプレー以上の印象となって残っている。

 

 

もうひとつの準決勝は愛知のフットサルクルービーユニアオと静岡のヒーローFC U-18Fの対戦だった。

 

共にフットサルへの想いは誰にも負けない!と自負する(しているであろう!)熱いハートを持った代表者が運営するクラブ同士の対戦に、第1試合とは違った興味でカメラを構えた。

 

そのゲームの入りは、互いのピッチを行き来する回数としたら第1試合の半分にも満たない、おとなしい試合とも感じるものだった。
フットサル競技経験の浅いチームが「まずはディフェンスから。」と教えられた定石どおりに相手の攻撃を構えて守り、攻める側もパスをつないで丁寧にボールを扱うかのように、いわばリスクを恐れる(排除する)傾向が強いゲームの入りだった。対照的だった第1試合は、リスクを恐れるよりイニシアチブを取りに行く事を優先したが故の序盤からの激しい攻防だったとも言える。

 

しかしながら、だからと言ってこの第2試合が見どころの少ないゲームかと言えば決してそうではない。

 

ユニアオは中心選手である10番巽選手を軸に、自分たちが練習してきた形での攻撃を実践すべく質の高い動きを目指していた。が、残念なことに、初めて試合を行うこの会場のボールが足に絡まるような独特のサーフェース(床面)や自分たち流に組み立てる縦のスペースの短さなどで選手全員が戸惑っているようにも見えた。

 

初めてという点ではヒーローも同様だったが、「この初戦をいかに省エネで勝ち上がるか?」と言うテーマで試合に臨んだ八木監督の意向通り、よりシンプルな攻撃を多用した分、やりたい事が出来ているのはヒーローだったと言えるかもしれない。

 

一進一退の攻防を繰り広げながら試合は後半終了の数秒前、PK決着を誰もが考えていたこの時間、ここでヒーローは左サイドのコーナーキックからの流れで14番福井選手がゴール前へ強いボールを蹴り入れると、これをゴール正面で3番杉山選手が合わせ待望のゴールを奪った。止まったタイマーを見れば残り1秒、まさしく試合を決めるゴールだった。
あれだけ勤勉なディフェンスが出来ていたにもかかわらず一瞬のマークのズレでの失点、ユニアオベンチの誰もが天を仰ぐ魔の一瞬だったに違いない。

第4位は「フットサルクルービーユニアオ」 準決勝試合前での集合写真

斎藤代表の全幅の信頼を受ける村松裕樹監督。準決勝も3位決定戦も振り返れば紙一重での敗戦だった。

 

・・・さて、個人的な事ではあるが、静岡勢の決勝進出で予定していた実家での私用に目をつむり、決勝の結果を見届けるまで会場に留まることになったのは言うまでもない。

 

その決勝までの時間、「あの名古屋にどうやって勝つ??」に思考をめぐらすが、ベタではあるが「引いて守って攻撃はピヴォ当て」くらいしか試合を形にする術が思い浮かばなかった。
言い換えれば、第1試合で見た名古屋のパワーが際立っているように思えたからだ。

 

実際に試合が始まると、ヒーローは想定通り大柄なピヴォの5番木村選手への放り込みを多用した。名古屋もこの攻撃には身体能力も高い8番川辺選手などがマッチアップし、そう簡単には自由にさせない。

 

ゴールクリアランスからは多くのボールがピヴォめがけて1番ゴレイロの曽根選手から投げられたが、そればかりではなく、フィールドプレーヤーが果敢にドリブルで名古屋ディフェンスへ仕掛ける場面も少なくない。とは言え、やはりポゼッションは名古屋の時間が長く、動くボールに対応する必要からヒーローにとっては体力を消耗する時間が続く。

 

それでもヒーローの選手たちは、名古屋のボール廻しや人の動きでズレを生じても足が止まる事なく次のアクションでしっかりと喰らい付き、しぶといディフェンスとゴレイロ1番曽根選手のファインセーブでゴールを許さない。

 

八木監督の思惑通り0-0で折り返した試合だったが、残り時間が7分を切った頃、「すごい選手!あいつにはやられちゃうだろうな。」と八木監督も口にし、最も警戒していた名古屋の8番川辺選手に先制ゴールを奪われてしまった。

 

1点を追う立場になったヒーローは、引き続きピヴォをターゲットにした攻撃を軸に反撃を見せるも、タイマーに表示される残り時間は刻々と減り1分を切る。と、名古屋もその対応には手慣れたもの、のはずだったのだが、名古屋ベンチが恐れていた同点ゴールが現実となった。

 

再三繰り返されてきたピヴォへのボールをうまく納めたヒーロー5番木村選手がゴールを背に左へターンしシュートを放つと、ボールは名古屋ゴールの右ポストの内側を叩きそのままネットを大きく揺らしたのだ。

 

ゴールを決めた5番木村選手は、両こぶしにありったけの力を込め何度も雄叫びをあげた。

何度、吠えただろう!?起死回生の同点ゴールを奪った木村芳之選手

 

結局、前後半の30分間はこのまま終了。

 

筆者は、この試合に出場している3年生が3年前に鈴鹿で繰り広げた、やはり全国への切符をかけて死闘を繰り広げたファルコ戦に想いをめぐらせた。
あの試合は点の取り合いではあったが、タイムアップのブザーが鳴る瞬間まで、ゲームの流れが行ったり来たりする、観ている者にとってはスリリングな試合だった。もちろん、全国への切符を手にしたのはヒーローの選手たちだった。
その後、一旦フットサルを離れた選手たちがヒーローFC/U-18の結成に伴い集まり始めたのはこの春の事だ。十分な練習が出来ていないことも承知で臨む大会、だが、八木監督には大きな勝算があったのかもしれない。

 

根拠はこうだ。「こいつら、持ってるんですよ!」

 

5分ハーフの延長戦に飛び出して行った選手たちに、練習不足の陰などなかった。必死で喰らい付くディフェンスを継続し、時には名古屋ゴールを脅かすようなシュートも放った。
試合時間は残り10数秒。1-1からのPK決着でどちらに勝利の目が転んでも、ヒーローの選手たちの頑張りを称えてあげたい、との筆者の軟(ヤワ)な思考に衝撃が走る瞬間が訪れる。

 

ハーフライン付近で犯してしまったファールからの名古屋のリプレーのボールを奪った19番西村選手がドリブルで運び、そのまま名古屋ゴールへ蹴り込んだのだ。

 

タイマーが示す数字は「00:08」。

 

「何が起こったのか?!」名古屋ベンチの誰もが気持ちの整理がつく前に試合は2-1で終了した。

 

準決勝の「00:01」そしてこの試合の「00:08」、八木監督の「こいつら、持ってるんですよ!」を説得力ある言葉と感じさせるに十分なふたつのタイマー表示だった。

 

「20 X 40」のフルコートで戦ったら?そんな議論は全く無意味だ。
何年か前の全日本フットサル選手権のキャッチコピー通り、勝負の世界「強いものが勝つ」のではなく「勝ったものが強い」のだから!

 

おめでとう!ヒーローのみなさん!! 全国の舞台でも、頑張れ!ヒーロー!!

優勝の「ヒーローエフシーユーイチハチエフ」

雑草軍団をまとめ上げる八木代表。監督として全国への椅子を仕留めた。

頑張れ!ヒーロー!!

 

 

最後に少しだけ。
U-18カテゴリーの各種大会も活発になってきたとはいえ、単独チームが参加するこの大会に出場した各県の代表チームの予選ラウンドでの試合では相当の力の差があったようだが、まずは何より、この年代のフットサルに本気で取り組む4チームが決勝ラウンドで顔を揃えた事を嬉しく思う。

 

そして、もし、もう1度この大会を静岡県開催することがあるのならば、当然、「20 X 40」のピッチサイズを用意してあげたい。

 

本気でそう思っている事をお伝えしレポートを終えることとする。

 

 

2016 第3回全日本ユース(U-18)フットサル大会 東海大会・・・フォトギャラリーのページへ

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