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全10チームで行われている今季の静岡県フットサル1部リーグはシーズンの折り返し点、第5節を迎えた。

 

会場は清水総合運動場体育館。

 

第4節まで全勝で首位に立つセレゾン浜松フットサルクラブに続き、1引き分けこそあるものの無敗で追走するObra-Prima(オブラ)。
同じ週の月曜日に終わったばかりの全日本フットサル選手権(PUMAカップ)中部地域予選では東海リーグ勢を押しのけ、見事、優勝で県大会進出を決めたばかりだ。

 

そのオブラにとっては活動拠点である清水区内で行われる唯一の県1部リーグ、PUMAカップ予選同様に地元サポーターの前で最高のゲームを披露したいところだが、この日は友人の結婚式出席などの理由で主力メンバーを多く欠く布陣で臨まなければならなかった。

 

対戦相手はIKAI FUTSAL(イカイ)。

 

主力を欠くオブラとは対照的に、この試合からイカイにはタイ代表経験を持つ選手など、新たに加入した4名の新戦力が出場可能となる。
「新戦力」とはいうものの、内2名は正確には「復帰」を果たした選手だ。一人はタイから帰国したGK(1)落合弘則、もう一人はFリーグ出場の経験もあるFP(20)ベッチーニョ(登録名はロベルト・ボルシェイデ)、いずれもイカイのメンバーとして2009年度のPUMAカップでは東海大会へ進出した実績を持つ。(関連記事:http://www.fut-de-shizuoka.com/FS_WEBLOG/?p=2888

 

そして残る二人が今節最も注目されるタイからの移籍選手、FP(3)プレーン(登録名はナティ・ジーポン)とFP(4)ベンズ(登録名はフォンテプ・ソナミット)だ。

 

前節までリーグ戦では下位に低迷するイカイだが、リーグ戦後半での巻き返し、さらには11月に予定されているPUMAカップ東部予選へ向け立て直しの材料はすべて揃ったと言えるだろう。

 

この日行われた全5試合の中から注目度が高かったこの対戦をピックアップレポートとして掲載させていただくこととした。

 

+++++++ ◆Pick Up Report◆ +++++++++++++++++++++++++++

9:30、イカイのキックオフで定刻通り開始されたゲームは、タイからの注目選手二人が揃って先発としてピッチに立った。

注目のタイ代表選手、背番号3のナティ・ジーポン。通称はプレーン。身長のある大型選手だ。

こちらは背番号4のフォンテプ・ソナミット。通称ベンズ。来日初ゴールを記録。

 

攻守のキーマン、西谷を欠くオブラはディフェンスでの無理な仕掛けをせず、自陣でしっかりと陣形を保ちながら対応する。
「まずは全員が守備の意識を高く持つ。守りの中でチャンスを見つけ、ボールを奪いカウンターに繋げるプランだった。」と試合後、オブラのキャプテン加藤が話すように、試合序盤はイカイのボール回しに我慢の時間が続いた。

 

だが、最初のゴールはイカイが奪う。

 

前半5分、マイボールを失ったオブラは「攻」から「守」への切り替えがわずかに遅れ、イカイのキャプテン谷口に右サイドのドリブル突破を許してしまう。右45度付近、タッチライン際から谷口がそのまま思い切りよくシュートを放つとボールはゴレイロの脇を抜けゴールネットを揺らした。

 

あっけない1点ではあったが、先制ゴールの後もテンポ良くボール回しの続くイカイの攻めに「今日はイカイの日か?」との思いも頭をよぎる。

 

逆を言えば、オブラの攻めに迫力が欠けていたとも言えるだろう。ボールを奪った後も積極的なシュートを打つことなく、なんとなくボールを失う展開だった。西谷、大宅の不在の影響か、いつものような厚みのある攻撃は影を潜めていたのは間違いなかった。

 

それでも前半は0-1の最少失点で終了。オブラにとっては後半に試合の流れを取り戻せるスコアだけにハーフタイムの選手の表情にも暗さはなかった。

 

ところが後半が始まった直後、自チームのキックオフボールを簡単に失い、その流れのまま新加入のベンズに追加点を奪われてしまう。
谷口から須田を経由したくさびのボールを、ベンズが足元の上手さを発揮して奪ったゴールだった。

 

後半立ち上がりで2-0とリードを広げたイカイ。勢いのあるチームならここからさらに試合をわが手に引き込むことが出来るのだろう。
ところが今季、ここまで最下位に低迷する弱さが露呈、攻撃面での修正をしてきたオブラの積極さに、自陣ゴール前に押し込まれる時間が多くなる。

 

予期せぬ失点を喫したオブラだったが「ハーフタイムでは、積極的なアラの仕掛け、そして何よりシュートの意識を強く持とうと話をしました。」とのキャプテン加藤の言葉通り、攻めの姿勢にシフトしたオブラの攻撃がイカイの攻守を上回る時間帯を作りだした。

キャプテンとして主力不在のゲームを引っ張った加藤。貴重なゴールも記録。

 

後半9分に大西がペナルティースポット付近、ゴールほぼ正面から蹴り込み1-2と反撃のゴールを奪うと、同11分にはゴール前の混戦から加藤がゴレイロのポジションを見極めたうえでゴール左隅へ狙い通り流し込みあっという間に試合を振り出しに戻した。

反撃のゴールを奪った大西(5)をアシスト役の中村が祝福。

 

勢いそのままに、さらに前がかりとなるオブラだったが、同点からわずか1分後、イカイ陣内でのパスミスからカウンターを受けイカイのキャプテン谷口にこの日2点目を奪われ2-3と再び劣勢に立たされた。

 

その後スコアは動かず、一進一退の攻防が続く。そして試合時間残り40秒。

 

オブラのレフティー大倉が左サイドでボールを受ける。ゴールまで比較的距離がある位置ではあったが、大倉はここから自慢の左足を思い切り振りぬいた。

 

このシュートがゴール右上の「ここしかない!」空間を射抜き3-3。その後の残り数十秒のプレー時間にもオブラの攻めの意識は継続し「あわやブザービートか!?」と思わせるヘディングシュートをイカイの落合がキャッチして試合終了。

 

主力不在のオブラにとっては、今季のリーグ制覇へ向けシーズンを継続するために必要な勝ち点1を確保した貴重な引き分けだと言えるだろう。

 

終了間際の豪快な同点シュートを決めた大倉は「3失点目は自分のパスミスからだったので何とか取り返したかった。普段の練習からあたっていたので点を取ることが出来る予感はありました。あの場面、相手の足が止まり寄せが甘かったし、左利きの僕にとってはコースも開いていましたからね。狙い通りのシュートが打てました。」と試合後振り返った。

両チーム最多のシュート9本を放った大倉(14)。終了間際の豪快な一発は観客席からもどよめきが起こった。

 

また、キャプテンの加藤は「今日は試合に来られない選手がいましたが、イカイの新戦力や0-2のビハインドでも焦りや怖さは感じなかった。公式戦でしばらく負けていないですし、PUMAカップ予選での強豪との対戦経験、予選大会優勝と言う結果も選手全員、大きな自信になっています。東海リーグ昇格へ向けてもそうですし、PUMAカップの県大会でも1試合1試合の積み重ねが大切。どちらも東海へ進みたいです。」と今季の終盤へ向けた目標を掲げた。

 

一方のイカイ。
第5節にして今季2度目の引き分けだが、それ以外はすべて1点差とはいえ3敗、いまだ片目すら開かない厳しい状況となった。
戦力的にはこの試合で今季初出場となった4選手以外にも、この日2ゴールのベテラン谷口、東海林や須田などFリーグの浦安や花巻でハイレベルなフットサルを経験済みの選手もいる。多少のメンバーの入れ替わりはあるものの、毎年、それなりの補強を行えるチーム環境を羨む声も多い。企業のサポートがあるチームだけに、練習時間の確保や練習参加の人数も他のチームのそれとは比べ物にならないほど恵まれているはずだ。

今季、丸坊主で試合に臨んでいる東海林(13)。チームが彼に寄せる期待はまだまだ高い所にあるはずだ。

この日のベッチーニョは最後尾でのプレーが多かった。シュートも前後半1本ずつの合計わずか2本。対戦相手にとっての脅威とはならずに試合を終えた。

 

県リーグレベルでは「電撃的!」とも言える4選手の加入の経緯などを含め、試合後にイカイの境監督、復帰を果たした落合選手、そしてキャプテンの谷口選手にお話を伺ったので短くご紹介し、レポートの締めとしたい。

 

▼境大輔監督

◇お疲れ様でした。(と声をかけ、何も問いかけていない時点で)
・・・とにかく監督の責任です。自分の戦術チョイスのミスで勝ちを逃がしてしまった。

◇今日の試合についてですか?
・・・これまでの試合でもそうだったのですが、自分の理想の戦術にこだわりすぎてしまったのかもしれません。自分の中では「県リーグで勝つだけのチーム作り。」では納得できない部分があります。

◇上を目指しているからこその取りこぼしだと?
・・・チームの目標がFリーグだとかと言うことではないのですが、東海地域でしっかりと戦えるチームに仕上げて行きたいという気持ちがあります。今日のゲームでもチームディフェンスの戦術は練習で積み上げてきたものがあったのですが、個人戦術の部分で未熟さが出てしまったと思います。プレスの掛け方やカウンターへの対応で出場経験の浅い選手にミスが出てしまった。一人ひとりの身につけている個人戦術を見極めた試合の進め方を指示出来なかったことは自分のミスだと思います。

◇新加入選手については?
・・・まず、ベッチーニョについては試合だけの合流になってしまいました。落合もまだ十分な練習が出来ていません。ただ、タイ人の二人は来日してからの約2週間、ほぼ毎日練習が出来ています。

◇3番のナティ・ジーポン選手は代表歴もあると聞いていますが?
・・・はい。昨年のワールドカップでもプレーしているそうです。以前はブラジル人の「個」を中心としたチーム作りをした時期がありました。しかし、(タイ人の)彼らが加入したことで、より「組織」を意識したチーム作りが必要になると思います。だからこそ、選手一人ひとりの個人戦術の部分での成長が必要だと考えます。特に若い選手には、タイ代表選手などとのコンビネーションの中で経験値を高め大きな成長を期待したいです。

◇県内の他のチームからの羨む声も大きいと思いますが?
・・・そうですね、「またか!」なんて言われてますね。周りの声はともかく、自分たちが間違いなく良い環境でフットサルが出来ていることを忘れてはいけないと思います。「話題になるだけのチーム。」ではなく、応援していただいている会社やチームのサポーターのためにも残されたリーグ戦や、全日本選手権での結果を求めたいと思います。

戦況を見守る境監督。新たな戦力を得て全日本選手権へ臨むこととなる。

 

▼落合弘則選手

・・・実は家の事情で日本に帰国することは決めていたんです。そんな時に谷口選手から「誰か良い選手いない?連れて来れないの?」と話があったんです。正直、自分の在籍していたチーム(PRACHIN FUTSAL CLUB/タイ)には「日本に行きたい!」と思っている選手はたくさんいたんです。チームとも話をしたのですが、「しっかりと日本へ送り出せる選手。」と言うことで今回の二人を紹介した、と言う訳です。

3番のプレーンはバランスの取れる選手で、シュート力もあります。
4番のベンズは若い選手でサイドを突破するスピードが持ち味です。ボール扱いもうまくシュートのタイミングも良い選手です。

今日の試合ですが、(帰国してから)いろいろあってあまり練習もできなかったこともあり、良いプレーができませんでした。
とにかくコンディションが悪かった。本来の自分のプレーが出来るよう調整していきたいと思います。

コンディション不良を口にした落合。だが彼らしい最後尾からの声は途切れることはなかった。

 

▼谷口譲二キャプテン

・・・今回の(タイからの)選手加入については、会社はもちろん彼らが在籍していたチームや国際移籍の諸手続きなどでアドバイスをいただいた連盟のみなさんやサッカー協会の方々に感謝したいと思います。試合を行うことだけがチーム運営でないことを改めて実感しました。

以前は主にブラジルからの選手でチーム作りをしていた時期もありました。チームとしては、助っ人だけで勝とうと言うことではなく、日本人選手に良い経験を積んでもらうことも考えています。特に若い選手にはブラジル人選手たちから「勝ちきるメンタル」を感じ取って欲しいと思っていました。

今回、スタイルは違いますがタイからの選手と一緒に戦うことになり、若い選手を含めチームはさらに良い経験を積めると思います。
(今日も含めてですが)今季ここまでの悪い流れを断ち切り、「負け癖」を打開したいと思います。とにかく「勝ちに勝る経験はない!」と思いますから!

自分もまだまだチームの若手選手には負けずにプレーできる自信があります。リーグ戦の今の順位からしたら、これから対戦する相手はすべて格上ですから、まずは気持ちで負けないように若手選手を引っ張りたいと思います。

この日2ゴールと気を吐いた谷口だったが、チームを勝利に導くことが出来なかった。

 

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