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「勝ちゲーム」逃したホーム開幕戦
       ・・・Fリーグ2012第3節アグレミーナ浜松対府中アスレティックFCレポート

 

 アグレミーナ浜松がホーム浜松に初登場。後半の同点劇で1465人の観客を沸かせた。

 

 連敗スタートの両チーム。どことなく悲壮感の漂うのは府中のほうか。筆者は伊藤雅範監督に何度か話を聞いたことがある。現役時代からフットサルを愛し、また勝つための方法をとことん考え抜く男だった。上位を狙える戦力を預かる立場としては、開幕2連敗は受け入れがたい結果だったに違いない。

 

 アグレミーナはFリーグ3戦目。名古屋、北海道というタイプの違う2チーム相手につかんだものを、初のホームゲームに還元したい。「フットサル初観戦」という人も多いだろうスタンドに、このスポーツの面白さを伝える役割も担っている。

 

 府中ペースで進んだ前半。7分、両チームにとって予期せぬことが起こる。府中のセカンドセットの要、完山徹一が2枚目のイエローカードを食らって退場したのだ。4対3の数的優位。アグレミーナはFリーグ入りして初めて、先制するチャンスを得た。

 

 だがここで得点が入らない。府中は宮田義人、山田ラファエルユウゴ、星龍太の3人で守りを固める。アグレミーナは蓮池紳吾、田中充彦がシュートを放つが、全体的にボールを慎重に扱う傾向が強く、ワンタッチパスで崩すなどといった試みが見られなかった。

 

 「完山の退場シーンは頭が真っ白になった。ゲームの形を変えざるを得なかった。具体的にはファーストの宮田に完山の役割を担ってもらい、宮田の代わりにロドリゴを使った」(府中・伊藤監督)

 

 数的不利をしのいだ府中は、「代役」ロドリゴが活躍する。このあたりは勝負のアヤだ。18分、右キックインからボールを受けたロドリゴは緩急つけた動きで左に持ち出し、角度のないところから左足ミドルシュート。これがゴール右上隅に決まった。ここまで決定機を数多く防いできたゴレイロ山本浩正は、ピッチに足を取られたか。

 

 前半を0対1で折り返したアグレミーナだったが、後半は守備が決壊する。28分、ゴール右で深い切り返しを見せた柴田祐輔にマーカーが付いて行けず2点目。30分にはキックインから、警戒していたはずの山田ラファエルに長距離砲を食らった。

 

 開幕節の名古屋戦と同じ展開。「このまま大量失点か」という思いもよぎったが、この日のアグレミーナにはホームの後押しがあった。

 

 「普通は3対0になったところで試合は終わる。でも彼らがはあきらめていなかった」と伊藤監督に言わしめた同点劇。まず、左サイドの崩しから田中のシュートパスを向島佑介が沈め、2点差。22秒後、右CKから中島涼太が美しい弧を描くミドルシュートをゴール右上隅に突き刺す。その21秒後には、相手ゴレイロがオウンゴール。バックパスをトラップ後、前に押し出そうとして空振りしたか。ボールがゴールラインをまたいだ。

 

 43秒間に3点取った。浜松アリーナは、蜂の巣をつついたような騒ぎだ。「もう1点!」。スタンドから声が上がる。

 

 一気呵成に攻め立てるアグレミーナ。31分、剣持貴充の左CKが逆サイドフリーの萩原洪拓に届き、フリーでシュート。これはゴール右に外れる。37分、中島が倒されて府中は5ファール。蓮池が前線で盛んに仕掛ける。右サイドをパラレラで抜けた剣持も強烈なシュートを放った。「行ける」という雰囲気が会場内に充満した。

 

 だが勝ち越し点を奪ったのは府中だった。前がかりになったアグレミーナの背後をついた。左サイドをダンタスがドリブルで疾走。スピードに乗ったままファーポストめがけてシュートパスを放つと、全速力で走り込んだ星龍太の足にピタリとあった。なだれ込むような4点目。府中はこれを守り切り、今季初勝利を挙げた。

 

 アグレミーナにとっては、勝ってもおかしくないゲームだった。展開にツキがあったからだ。山本が必死のセーブを見せ、相手に退場者が出た。後半は相手シュートが3本ポストをたたいた。明らかにフォローの風が吹いていた。昨年、花巻での経験がある中島は「会場の後押しもあった。逆転まで持っていかないと。チームとして1つ勉強したと思う」と話した。

 

 裏を返せば、ポストに助けられていなければ大量失点で敗れた可能性もあったということ。相手との距離を意識した1対1の対応、シュートブロックには大きな進歩が見られたが、瞬間的なマークの甘さが失点につながっている。山本は「守備の仕方というより、自分たちのミスからピンチを招く場面が非常に多い。根本的なミスを少なくすることが最優先」と分析する。

 

 3節を終え、アグレミーナの選手たちは、Fリーグの舞台には地域リーグにいないレベルのゴールゲッターがいることを身を持って知ったはず。次節の相手浦安にも、稲葉洸太郎、高橋健介、中島孝ら抜け目なくゴールを陥れるタレントがいる。「40分間走り続けて勝利したい」(蓮池)という言葉を実際のゲームで表現したい。

 

 前田監督は会見で、「数人の選手で戦っている状態。チームとしての底上げが課題だ」と話した。

 

●府中アスレティックFC 4-3 アグレミーナ浜松

 18分 ロドリゴ(府中) 1-0
 28分 柴田祐輔(府中) 2-0
 30分 山田ラファエルユウゴ(府中) 3-0
 30分 向島佑介(浜松) 3-1
 31分 中島涼太(浜松) 3-2
 31分 オウンゴール 3-3
 39分 星龍太(府中) 4-3

 

写真・レポート:橋爪充

 

▲アグレミーナのメンバー。第2節北海道戦に出場した高橋亮祐に替えて畠山デビットケイチを入れた

▲第2節浦安戦と同じ顔触れの府中。ゴレイロには前節先発の村山竜三ではなく第1節先発の田中俊則を起用

▲過去2戦はそれぞれシュート2本に終わった蓮池だが、この日は8本のシュートを打った

▲浜松アリーナに詰めかけた観客に最も強烈な印象を残したであろうゴレイロ山本。幾多のピンチを防いだ。フットサル3戦目。明らかに順応が見られる

▲7分に府中・完山が退場。アグレミーナは数的優位だったが生かせず

▲攻守に奮闘した向島佑介。チーム初ゴールに続き、ホーム初ゴールもスコア

▲1点差に迫るチーム2点目を決めた中島涼太は、何度も咆哮。「らしい」シーンだ

▲先制ゴールを決めるなど、試合を通じてアグレミーナの脅威になり続けた府中・ロドリゴ

▲府中は今季初勝利。選手、スタッフはホッとした顔つきだった

▲試合後の前田監督、蓮池の記者会見。前田監督はさまざまな思いが去来したか、会見途中で声を詰まらせた

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